Windowsのセキュリティアドバイザリ11件、23のセキュリティ脆弱性を修正
対象:SMB
サーバ/ XML コアサービス/
カーネルなど
危険度:
高
2010年8月10日
概要:
- 対象:
現バージョンのWindowsとそれに搭載されているコンポーネント(Microsoft
Silverlightに影響する欠陥も1つあり)
- 攻撃方法:
細工したネットワーク・パケットを送信したり、有害なメディアをユーザが開くように誘導したりするなど、攻撃方法は多々ある
- 影響:
結果は様々だが最悪の場合は、攻撃者がユーザのWindowsコンピュータを完全にコントロールできるようになる
- 対策:
マイクロソフトのパッチを至急導入するか、Widowsの自動アップデート機能に任せること
詳細:
米国時間の8月10日、マイクロソフトは11件のセキュリティアドバイザリをリリースし、Windowsとそれに搭載されているコンポーネントに影響を与えている23件のセキュリティ脆弱性について説明した。問題の脆弱性の影響力はWindowsのバージョンにより異なるが、リモート攻撃者は中でも悪質な欠陥を悪用し、ユーザのWindows
PCを完全に操作できるようになる可能性がある。次の概要では危険性の高いものから順にリストに挙げた。
マイクロソフトの
Server Message
Block (SMB) は、ファイルやプリントシェアにWindowsが使うプロトコルだ。マイクロソフトによると、Windows
SMBサーバは3つのセキュリティ脆弱性の影響を受けており、そのうち1つは攻撃者が悪質なコードを実行できるようにしてしまうという。これら欠陥は技術面では異なるが、攻撃者は同じ方法で悪用することができる。攻撃者は、特別に細工したネットワーク・メッセージをユーザに送信し、中でも悪質な欠陥を悪用して脆弱なWindowsコンピュータを完全にコントロールできるようになる。また、その他2つのSMBサーバ欠陥はサービス拒否(DoS)状態に追い込むことができる。通常、攻撃者はローカル・ネットワーク内でマルウェアを自動的に蔓延させるために、この種のSMBサーバ脆弱性を利用する。このアップデートを早急に導入することをすすめる。
マイクロソフトの評価:深刻
Secure
Channel (SChannel)は、Secure
Sckets Layer(SSL)やTransport Layer Security(TLS)認証プロトコルを実施するWindowsのセキュリティ・パッケージだ。しかし、8月10日付けのセキュリティ・アドバイザリによるとSChannelは2つのセキュリティ脆弱性の影響を受けているという。攻撃者は細工したウェブサイトにユーザを誘導し、2つのうちでも悪質な欠陥を悪用してシステム特権を完全に獲得した上でコードを実行、ユーザのコンピュータを完全にコントロールできるようになる可能性がある。このアップデートはセキュアな接続状態において攻撃者達が
中間者攻撃 (MitM)に利用する
TLS/SSL
renegotiationの脆弱性も修正している。
マイクロソフトの評価:深刻
Microsoft
XML (MSXML) Core サービスは
XMLコンテンツを処理するWindowsのコンポーネントだが、細工された悪質なHTTPリスポンス処理に関与するメモリ破損の脆弱性の影響を受けている。攻撃者はユーザを有害なウェブサイトに誘導し、欠陥を悪用してユーザの特権を獲得した状態で、そのコンピュータでコードを実行できるようになる。ユーザに管理者の特権があった場合、攻撃者はそのユーザのPCを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:深刻
MPEG
Layer-3はMP3として知られているオーディオ・エンコーディング形式で、コンピュータなどのデジタル機器でオーディオを再生する場合の圧縮方法だ。WindowsにはミュージックファイルやビデオファイルのMP3オーディオを復号し再生する特別な
コーデックが搭載されている。しかしWindowsのMP3コーデックは、細工されたオーディオファイルを適切に処理できないため、バッファ・オーバーフロー問題の影響を受けている。攻撃者は、細工済みのオーディオファイルをユーザがダウンロードし、それを再生するように誘導すると、脆弱性を悪用してユーザの特権を獲得し、そのコンピュータでコードを実行できるようになる。ユーザに管理者の特権があった場合、攻撃者は、そのユーザのPCを完全にコントロールできるようになる。ちなみに、この欠陥はWindows
XPとServer 2003 にのみ影響している。
マイクロソフトの評価:深刻
Cinepakは、メディアのエンコーディングおよびデコーディングを可能にするコーデックで、コンピュータなどのデジタル機器でビデオを再生するためのビデオ圧縮に使う。コーデックを使ってエンコードされたビデオファイルを処理するため、CinepakコーデックはWindowsに搭載されている。しかし、WindowsのCinepakコーデックは細工されたビデオファイルを適切に処理できないため、未特定の脆弱性の影響を受けている。悪質なビデオファイルをダウンロードし、それを再生するようにユーザを誘導すると、攻撃者はこの脆弱性を悪用してユーザの特権を獲得した状態で、そのコンピュータでコードを実行できるようになる。ユーザに管理者の特権があった場合、攻撃者はそのユーザのPCを完全にコントロールできるようになる。ちなみに、この欠陥の影響を受けているのはWindowsのクライアント・バージョンのみである(XP/Vista/7)。
マイクロソフトの評価:深刻
- MS10-060: Microsoft .NET Framework
とSilverlightでコード実行の脆弱性
マイクロソフトの
Silverlightと
.NET
Frameworkは、内容豊富なウェブ・アプリケーションを作成するために開発者達の役に立つ2つのオプションのWindowsコンポーネントだ。このコンポーネントは初めからWindowsには搭載されているものではないが、多くのユーザがインストールしている。しかし、どちらのコンポーネントもコード実行の脆弱性の影響を受けており、技術面では異なるが、攻撃者は同じ方法で悪用することができ、その結果も大体のところ同じである。細工したウェブ・アプリケーションを忍ばせたウェブサイトにユーザを誘導すると、攻撃者は欠陥を悪用してユーザの特権を獲得し、そのコンピュータでコードを実行できるようになる。通常通りユーザにローカル管理者の特権があった場合、攻撃者はそのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:深刻
カーネルはコンピュータのオペレーティング・システムのコア・コンポーネントだ。Windowsにはカーネルレベル・デバイスを処理するカーネルモードのデバイス・ドライバ(win32k.sys)も搭載されている。Windowsカーネルとこのカーネルモード・ドライバは、複数のサービス拒否(DoS)と権限昇格の影響を受けている。どの欠陥も技術面では異なるが、その大方の範囲と影響は同じである。細工したプログラムを実行することで、攻撃者は欠陥を利用しユーザのコンピュータをロックしたり、そのWindowsを完全に操作できるようになる。しかし、攻撃者はまず有効なクレデンシャルを使ってユーザのWindowsでローカル・アクセスをしなければならないため、そのリスクは大幅に緩和される。
マイクロソフトの評価:重要
Windows
Movie Makerは、Windowsで無料入手できるビデオ・キャプチャーや編集用のアプリケーションだ。ムービーメーカーはWindows
XPや2000など旧バージョンのWindowsに搭載されていたが、最新のWindowsバージョン(Windows
Vista や7)のインストールディスクには入っていない。その代わりに
Windows Live Essentialsパッケージの一部として、無料でダウンロードできるオプションが提供されている。つまり、Windows
XPを使用しているならばWindowsムービーメーカーを持っていることだろう。逆にWidows
Vistaや7を使っている場合は、意図的にLive Essentialsパッケージでダウンロードしインストールした場合にのみ所持していることだろう。ムービーメーカーは、細工されたプロジェクト・ファイルを適切に解析できないため、メモリ破損の脆弱性の影響を受けている。攻撃者が細工したプロジェクト・ファイルをユーザがダウンロードし、ムービーメーカーやProducerでそのファイルを開いた場合、攻撃者はその欠陥を悪用し、そのユーザの特権を獲得した上でそのコンピュータでコードを実行できるようになる。ユーザにローカル管理者の特権があった場合、攻撃者はそのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。ちなみに、この欠陥はWindows
7バージョンのムービーメーカーには影響しない。
マイクロソフトの評価:重要
多くのWindowsバージョンに搭載されているTCP/IPスタックは、権限昇格(EoP)やサービス拒否(DoS)の影響を受けている。細工したIPv6パケットを送信することで、攻撃者はDoS欠陥を利用し被害者のWindowsシステムが反応しないようにすることができる。しかしEoP脆弱性を悪用するのは、いくらか困難ではある。この欠陥を悪用するには、まず有効なWindowsクレデンシャルで影響を受けているシステムにログインし、細工したプログラムをローカル・コンピュータで実行しなければならない。しかし攻撃者がそれに成功すると、ログインに使ったユーザの特権にかかわらず、そのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:重要
Windowsにはサービスのトレース機能というコンポーネントが搭載されている。このコンポーネントは、技術的には異なるが、その範囲と影響は同じ2つの脆弱性の影響を受けている。攻撃者が有効なWindowsクレデンシャルで影響を受けているWindowsシステムでログインした場合、攻撃者はログインした際のユーザの特権にかかわらず、細工したプログラムを実行し、それを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:重要
対策:
マイクロソフトは、こうした脆弱性をすべて修正できるパッチをリリースしているので、状況に適したパッチを至急ダウンロードし、テストしてからネットワーク全体に導入することをすすめる。また、Windowsの自動アップデート機能に任せて必要なパッチをダウンロードしインストールする方法もある。
日本語版をダウンロードするには「Change Language」で「Japanese」を選択:
MS10-054:
* 注意:Server Coreインストール・オプションを使ってインストールしたWindows
Server 2008 の管理者への影響はない。
MS10-049:
* 注意:Server Coreインストール・オプションを使ってインストールしたWindows
Server 2008 の管理者への影響はない。
MS10-051:
Microsoft XML Core Services 3.0:
MS10-052:
注意:他のWindowsバージョンへの影響はない。
MS10-055:
注意:他のWindowsバージョンへの影響はない
MS10-060:
- Windows XP
- Windows XP x64
- Windows Server 2003
- Windows Server 2003 x64
- Windows Server 2003 Itanium
- Windows Vista (w/SP1)
- Windows Vista (w/SP1)
- Windows Vista x64 (w/SP1)
- Windows Vista x64 (w/SP2)
- Windows Server 2008
- Windows Server 2008 (w/SP2)
- Windows Server 2008 x64
- Windows Server 2008 x64
(w/SP2)
- Windows Server 2008 Itanium
- Windows Server 2008 Itanium(w/SP2)
- Windows 7
- Windows 7 x64
- Windows Server 2008 R2
x64
- Windows Server 2008 R2
Itanium
- Silverlight 2
- Silverlight 3
MS10-047:
注意:他のWindowsバージョンへの影響はない。
MS10-048:
MS10-050:
ムービーメーカー:
- Windows XP
- Windows XP x64
- Windows Vista
- Windows Vista x64 Edition
MS10-058:
注意:他のWindowsバージョンへの影響はない。
MS10-059:
注意:他のWindowsバージョンへの影響はない。
ウォッチガードユーザへ:
攻撃者は様々な方法を使い、こうした欠陥を悪用する。適切に設定されたファイアウォールは、こうした問題のいくつかのリスクを緩和させることが可能。実際にFireboxはデフォルトで(特にSMB関連の脆弱性など)ネットワーク・アクセスを必要とするマイクロソフトの欠陥を大方阻止するようになっている。また、こうした攻撃に必要なファイル種類を(.AVI/.MP3ファイルなど)ネットワークから遮断するようにFireboxを設定することもできる。とはいっても、Fireboxがローカル攻撃からネットワークを保護することはできず、通常のHTTPトラフィックを利用する攻撃を阻止することもできない。このため、マイクロソフトのアップデートをインストールすることが、もっとも安全な対策といえるだろう。
ステータス:
マイクロソフトはこの問題を修正するパッチをリリースしている。
参考資料:
この記事はコーリー・ナクライナーCISSP(Corey Nachreiner)により調査され書かれたものです。
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