15のセキュリティホールを修正するWindowsアップデート(12)
Media Player/ .NET Framework/
カーネルモード・ドライバなど
危険度:高
2010年10月12日
概要:
- 影響を受けている製品:
全バージョンのWindowsとそれに搭載されているコンポーネント(.NET
Frameworkも含む)
- 脆弱性の悪用方法:
細工したネットワークパケットを送信したり、悪質なメディアを含むウェブサイトにユーザを誘導するなど攻撃方法は多々ある。
- 影響:
結果は様々だが、最悪の場合は攻撃者がユーザのWindowsを完全にコントロールできるようになる。
- 対策:
状況に適したマイクロソフトのパッチを至急インストールするか、Windowsの自動アップデート機能に任せること。
詳細:
米国時間の10月12日、マイクロソフトはWindowsとそれに搭載されているコンポーネントに影響を及ぼしている15件の脆弱性について説明したセキュリティアドバイザリ12件をリリースした。各脆弱性が影響を与えているバージョンのWindowsは異なり、その度合いも様々だが、リモート攻撃者は中でも悪質な欠陥を悪用し、ユーザのWindows
PCを完全に操作できるようになる恐れがある。次にその概要を危険性の高いものから順に簡単に説明しておく。
MS10-075:
Windows Media Player ネットワーク共有サービスの脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2281679)
Windows Media Player (WMP)は、Windowsに搭載されている評判の良いマルチメディアを再生するアプリケーションだ。Windowsコンピュータの多くは初期設定に基きMedia
Player Network Sharing Serviceをスタートさせ、同じネットワークにいる他のコンピュータとメディアを共有できるようにする。但し、Windows
Vistaと7では初期設定でスタートしないようになっている。
マイクロソフトによると、Windows Vistaと7に搭載されているMedia
Player Network Sharing Serviceは、
リアルタイム・ストリーミング・プロトコル(RTSP)パケットを処理する方法に関与するセキュリティ脆弱性の影響を受けているという。攻撃者は細工したRTSPパケットをNetwork
Sharing Serviceでコンピュータに送信し脆弱性を悪用してNetwork
Servicesのアカウントに関連させ、そのコンピュータでコードを実行できる。Network
Servicesアカウントの特権には制限があるものの、攻撃者は他の脆弱性を利用して(このアラートでも詳細を説明)コンピュータを完全にコントロールできるようになる。普通、Windowsはローカル・ネットワーク内のコンピュータのみがMedia
Player Nework Sharing Serviceにアクセスできるようにしているので、この問題は内部脅威に制限される傾向がある。更に、このプログラムはVistaやWindows
7では初期設定でスタートしないため、この攻撃の危険性を低下させている。
マイクロソフトの評価:緊急
MS10-076:
Embedded OpenType フォント エンジンの脆弱性により、リモートでコードが実行される
(982132)
Windowsには
OpenTypeフォントを含むドキュメントやメール、ウェブページを処理するOpenType
Font Engineが搭載されている。OpenType Font Engineは、OpenTypeフォントを含むコンテンツにある特定のテーブル処理法に関与する整数のオーバーフローの脆弱性の影響を受けている。攻撃者はユーザをウェブページに誘導したり、不当に作成したOpenTypeフォントを含むコンテンツをユーザに開かせることで欠陥を悪用し、ユーザのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:緊急
MS10-077:
.NET Framework の脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2160841)
マイクロソフトの
.NET Frameworkは、開発者達が内容豊富なウェブアプリケーションを作成するために使うWindowsのオプション・コンポーネントで、ウェブコンテンツを表示する役割も担っている。Windowsは初期設定において搭載していないが、多くのユーザがこれをインストールしている。しかし、.NET
Framework 4.0 の64ビット版は
コンパイラがコードを不正確に最適化する方法に関与するコード実行の脆弱性の影響を受けている。攻撃者は細工したウェブアプリケーションを含むウェブサイトにユーザを誘導したり、
悪質な.NETアプリケーションを実行するように仕向けることで欠陥を悪用し、ユーザの特権を持った状態でユーザのコンピュータでコードを実行する。また、こうしたケースでよく見られるように、ユーザにローカル管理者の特権があった場合は攻撃者がコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:緊急
MS10-073
Windows カーネルモード ドライバーの脆弱性により、特権が昇格される
(981957)
カーネルはコンピュータのオペレーティング・システムにおける中心的な構成要素だ。Windowsに搭載されているカーネル・モード・デバイス・ドライバ(win32k.sys)は、いくつものカーネル・レベル・デバイスを処理することができるのだが、そのカーネル・モード・ドライバは複数の特権昇格の脆弱性の影響を受けている。欠陥は技術的には異なるが、その影響範囲は同じである。ローカル攻撃者は細工したプログラムを実行することで欠陥を利用し、ユーザのWindowsコンピュータを完全に操作できるようになる可能性がある。但し、攻撃者はまず正当なクレデンシャルを使ってユーザのWindowsコンピュータへのローカル・アクセスを獲得しなければならないため、この欠陥のリスクは大幅に低下している。とはいっても、攻撃者達はメディアで特に大きく扱われた
Stuxnet ワームに関係させるなどして、この問題を一般環境下で悪用している。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-078:
OpenType フォント (OTF) 形式ドライバーの脆弱性により、特権が昇格される
(2279986)
OpenType Fontフォーマット・ドライバは、OpenTypeフォントを処理するためにWindowsが使うもうひとつのコンポーネントだ。OpenType
Fontフォーマット・ドライバは、細工されたOpenTypeフォントを処理できない点に関与している特権昇格の脆弱性2件の影響を受けている。先に説明したOpenType
Engineの欠陥とその概念は似ているが、攻撃者がこの悪用方法を成功させるには、まず脆弱なWindowsコンピュータにローカルからログインする必要があり、それを達成してから細工したプログラムを実行することになる。Windowsコンピュータにアクセスし、悪質なプログラムを使ってこうした欠陥を利用すると、攻撃者はユーザのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。とはいっても、脆弱性が影響を与えているのはXPとServer
2003 のみである。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-081:
Windows コモン コントロール
ライブラリの脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2296011)
Windowsには、インタラクティブ・ウィンドウの作成に役立つコモン・コントロール・ライブラリ(Comctl32.dll)というファンクションのライブラリが搭載されている。しかし、このコモン・コントロール・ライブラリは、第三者のアプリケーションによるスケーラブル・ベクター・グラフィックス(SVG)の処理法に関与するヒープ・バッファ・オーバーフロー問題の影響を受けている。攻撃者は細工済みコードを埋め込んだウェブサイトにユーザを誘導することで欠陥を悪用し、ユーザの特権を得た状態で被害者のコンピュータでコードを実行できるようになる。こうしたケースでよく見られるように、被害者にローカル管理者の特権があった場合、攻撃者はそのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-082
Windows Media Player の脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2378111)
先程も説明したが、Windows Media Player(WMP)はWindowsに搭載されている評判の良いマルチメディアを再生するアプリケーションだ。Windows
Media Playerはウェブベース・メディアの処理法に関与するコード実行問題の影響を受けている。攻撃者は細工したメディアを埋め込んだウェブサイトにユーザを誘導し、そのユーザのコンピュータを完全にコントロールできるようになる可能性がある。とはいっても、攻撃を成功させるには、まずユーザがそのウェブサイトにあるポップアップ・ダイアログを少なくても一度はクリックしなければならないため、この危険性は大幅に緩和される(注意:最初に解説したMedia
Playerの欠陥の方は、ユーザによるインタラクションはまったく必要ない)。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-083:
Windows シェルおよびワードパッドの COM
の検証の脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2405882)
WordPadは実に基本的なワードプロセッサ・プログラム兼テキスト・エディタで、Windowsに搭載されている。そして、Windows
ShellはWindowsの
GUI主要コンポーネントだ。こうしたWindowsの両コンポーネントは、
COMオブジェクトの処理法に関与する欠陥の影響を受けている。簡単に説明すると、攻撃者は細工したウェブページにユーザを誘導し、ユーザが悪質なドキュメントをWordPadで開くように仕向けたり、悪質なショートカットに関わるようにしたりすることで欠陥を悪用し、ユーザの特権を獲得した上で、そのユーザのコンピュータでコードを実行できるようになる。また、ユーザがローカル管理者であった場合、攻撃者はユーザのコンピュータを完全にコントロールできるようになる。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-084:
Windows ローカル プロシージャー
コールの脆弱性により、特権が昇格される (2360937)
リモート・プロシージャ・コール(RPC)は、ネットワーク上の1台のコンピュータが別のコンピュータでタスクを実行し、そのタスクの結果を受け取れるようにするプロトコルで、Windowsユーザが使用しているものだ。Windows
RPCにはローカル・プロシージャ・コール(LPC)コンポーネントもあり、Windowsはローカル・プロセスとスレッド間のメッセージのやり取りに使っている。Windows
LPCコンポーネントは、細工されたLPCリクエストを処理できない点に関与するバッファ・オーバーフロー問題の影響を受けており、ローカル攻撃者は細工したプログラムを実行することで欠陥を利用し、Network
Servicesアカウントに関連させてコードを実行する。Network
Servicesアカウントには制限があるが、攻撃者はこのアラートでも説明した他の脆弱性を利用してコンピュータを完全にコントロールできるようになる。但し、LPCコールはローカルにだけ送信されるようになっているので、攻撃者はまず有効なクレデンシャルを使いユーザのWindowsコンピュータへのローカル・アクセスが必要になる。また、この欠陥の影響を受けているのはXPとServer
2003のみであるといった点もあり、危険性は大幅に緩和される。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-085:
SChannel の脆弱性により、サービス拒否が起こる (2207566)
Secure
Channel (SChannel)は、Windowsのセキュリティ・パッケージでセキュア・ソケット・レイヤ(SSL)と、トランスポート・レイヤ・セキュリティ(TLS)の認証プロトコルを実施する。今回リリースされたセキュリティアドバイザリによると、Schannelは細工されたSSL/TLSハンドシェイク・リクエストの処理法に関与するサービス拒否(DoS)問題の影響を受けているという。攻撃者はSSLを有効にしたウェブ・サーバに細工したリクエストを送信することで、欠陥を利用しユーザのサーバが反応しなくなる問題を引き起こすことができる。そうなると、サービスを再び始めるにはサーバを再起動させなければならない。しかし、この欠陥は明らかにSSL接続受信、つまり一般的にIIS
ウェブサーバとセキュア・ページを許可しているサーバのみに影響している。そうしたサーバを所持していたり、SSL接続がファイアウォールを通過するようにしていないのであれば、この攻撃による影響はない。
マイクロソフトの評価:重要
MS10-074:
Microsoft Foundation Classes の脆弱性により、リモートでコードが実行される
(2387149)
Windowsには、Windowsの基本的なOSやGUI機能を実施するプログラム作成時に開発者達が使うFoundation
Class Libraryというファンクションのライブラリが搭載されているのだが、それはウィンドウズ・タイトルの処理法に関与する脆弱性の影響を受けている。コンピュータにFoundation
Class Libraryを使って作成された第三者のアプリケーションがあり、そのアプリケーションがウィンドウズ・タイトルを変更するためにユーザのインプットを何らかの方法で許可し、更に外部の攻撃者がそのインプットを操作し、ウィンドウズ・タイトルを変更できる場合において、攻撃者はこの欠陥を悪用してユーザの特権を獲得した上で、そのユーザのコンピュータでコードを実行することができるようになる。お分かりかとは思うが、これには「もしそれができたら......」という条件がかなりある。マイクロソフトはこの欠陥に脆弱な同社のソフトウェアはないと述べているので、影響を受けているのは、特定の方法でコードされた第三者のアプリケーションをインストールしている場合に限る。こうした理由から、この欠陥のリスクは低いものといえるだろう。
マイクロソフトの評価:中
MS10-086:
Windows 共有クラスター ディスクの脆弱性により、改ざんが起こる
(2294255)
マイクロソフト・クラスタ・サービス(MSCS)は、サーバやディスクをひとまとめにするWindowsコンポーネントだ。しかし、MSCSは新しいディスクをディスク・クラスタに追加する際、適切に許可権を設定できないため、内部攻撃者はクラスタ・ディスクのファイル・システムにリモートからアクセスできるようになる。特権にかかわらず、管理シェアはそのシェアを完全にコントロールできる。普通はローカル・ネットワークのユーザのみがディスクシェアにアクセスできるようになっている。ちなみに、この欠陥の影響を受けているのはWindows
Server 2008 R2だけである。
マイクロソフトの評価:中
解決策:
マイクロソフトはこうした脆弱性をすべて修正できるWindowsパッチをリリースしているので、状況に適したパッチを至急ダウンロードし、テストしてからネットワーク全体に取り入れることをすすめる。また、Windows
Update機能に任せ、自動的に必要なパッチをインストールする方法もある。
MS10-075:
注意:その他のWindowsバージョンへの影響はない
MS10-076:
*注意:Server
Coreインストールへの影響はない。
MS10-077:
MS10-073:
MS10-078:
注意:その他のWindowsバージョンへの影響はない
MS10-081:
*注意:Server
Coreインストールへの影響はない。
MS10-082:
Windows Media Player アップデート(全バージョン):
*注意:Server Coreインストールへの影響はない。
MS10-083:
WordPadアップデート:
Windows Shellアップデート:
*注意:Server Coreインストールへの影響はない。
MS10-084:
注意:その他のWindowsバージョンへの影響はない
MS10-085:
MS10-074:
MS10-086:
注意:その他のWindowsバージョンへの影響はない
ウォッチガードユーザ対象:
攻撃者は様々な悪用方法を使って欠陥を悪用できるが、適切に設定されたファイアウォールであれば、このような問題(注:ローカルリソースへのアクセスに依存する問題)のリスクを緩和させることができる。とはいっても、Fireboxでローカル攻撃からネットワークを守ることはできないほか、通常のHTTPトラフィックを利用する攻撃を阻止することもできないので、マイクロソフトのアップデートをインストールすることが最善策であるといえるだろう。
ステータス:
マイクロソフトはこうした問題をすべて修正できるパッチを用意している。
参考資料:
調査・記事:コーリー・ナクライナーCISSP(Corey Nachreiner,
CISSP)
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