顧客がサイバーセキュリティに今求めていること。IT サポートから戦略的パートナーへ
顧客が MSP に求めているのは、日々のセキュリティ管理を、戦略的なガイダンス、レジリエンス、そしてビジネス成果へとつなげることです。
2026 年 8 月 13 日 Michelle Welch 著
サイバーセキュリティ環境では、攻撃対象領域の拡大、テクノロジーの分断、運用の複雑化が進んでいます。こうした課題に対応するため、組織は外部のサービスプロバイダーを利用するケースが増えています。MSP は、専門的な能力、24 時間 365 日の保護、複数の環境に対応する専門知識を提供することで、社内チームだけでは管理が難しいリスクの軽減を支援できます。
しかし、48% の企業が外部のサービスプロバイダーを利用する中、MSP に対する期待も変化しており、マネージドサービス市場は新たな成長を見せています。現在、サイバーセキュリティのアウトソーシングは、もはや IT 部門の運用負担を軽減することだけが目的ではありません。組織は今、MSP に対して、リスク管理能力の強化、厳格化する規制環境への対応、そして事業継続性の確保まで支援することを期待しています。
この変化は、MSP にとって大きなビジネスチャンスです。自動化によって、これまで人が担っていた定型的な運用タスクの多くが処理されるようになる中、真の差別化要因は、もはや技術的な作業を実行する能力ではありません。重要なのは、状況に応じたコンテキスト、洞察、そして戦略的な方向性を提供できる能力です。市場が MSP に求めているのは、単に製品やサービスを提供することだけではありません。サイバーセキュリティをビジネスの成果へと結び付けられるパートナーが求められているのです。
作業の評価から成果の提示へ
これまで長年にわたり、サービスプロバイダーと顧客の間では、処理したインシデントの件数、修正した脆弱性の数、対応時間といった技術的な指標が会話の中心でした。
こうした数値が今でも重要であることに変わりはありません。しかし、それだけではビジネスリーダーが本当に知りたいことには答えられなくなっています。彼らが知りたいのは、何件のアラートを調査したかではありません。知りたいのは、現在、組織のリスクが以前より低減されているか、インシデントへの対応に向けた準備が整っているか、そして障害が発生した際にも事業継続性を維持できる体制が整っているかということです。
このような焦点の変化によって、MSP は自らのサービス価値を示すべき方向性も変わりつつあります。
- セキュリティの目標をビジネスの目標と一致させる
サイバーセキュリティについて対話するときには、まず顧客にとって何が最も重要なのかを理解することから始める必要があります。重要な資産の保護、事業継続性の確保、規制要件への対応、そして事業成長の促進では、それぞれ優先すべき事項も必要となる戦略も大きく異なります。 - セキュリティ管理をシンプルにして、効果を最大化する
セキュリティチームが扱うツールの乱立により、運用上の負担が増大しています。統合型プラットフォームと自動化によって、この複雑さを軽減し、可視性を高めるとともに、リスク管理や戦略立案といった、より価値の高い業務に時間を振り向けられるようになります。 - 実際のビジネスへの影響に基づいて優先順位を決める
すべての業務に同じレベルの注意を払う必要があるわけではありません。顧客のビジネスがどのように運営されているかを理解することで、技術的な基準だけに頼るのではなく、事業継続性に与える可能性のある影響に基づいて、セキュリティ対策の優先順位を決められるようになります。 - ビジネスの変化に合わせて進化する
リスクは常に変化しています。そのため、プロバイダーと顧客の関係も、定期的なレビューを通じて継続的に進化させる必要があります。ビジネスニーズの変化に応じて、優先順位、セキュリティ対策、戦略を適応させていくことが重要です。 - データを戦略的な対話につなげる
セキュリティレポートは、単に実施した作業をまとめるだけではなく、より良い意思決定につながるものであるべきです。リスクの低減、レジリエンス、ビジネスへの影響という観点からデータを提示することで、セキュリティレポートは単なる技術レポートから、経営判断を支援するツールへと変わります。
信頼が最も重要な差別化要因になる
テクノロジーは進化し続けています。AI は、さまざまなタスクを自動化し、業務を迅速化するとともに、攻撃者と防御側の双方の活動のあり方を変えていくでしょう。
しかし、そうした進化によって、信頼はこれまで以上に重要になります。
顧客には今後も、ますます複雑化する環境を読み解き、投資の優先順位を決め、十分な情報に基づいて意思決定できるよう支援してくれる専門家が必要です。
つまり、MSP の役割は今後も拡大していきます。MSP は、単にインフラを保護するだけでなく、レジリエンス、コンプライアンス、事業継続性、リスク管理といった分野において、信頼されるアドバイザーとしての役割を果たす必要があります。
もちろん、その信頼は、まず自らが模範を示すことで築いていかなければなりません。戦略的パートナーを目指すプロバイダーは、顧客に推奨しているセキュリティ、透明性、ガバナンスの基準を、自社の業務にも同じように適用する必要があります。信頼は、販売するソリューションだけで生まれるものではありません。顧客との間で築いていくものです。
テクノロジーが急速にコモディティ化する市場では、真の差別化をもたらすのは、顧客との関係、ビジネスに関する知見、そして意味のあるコンテキストを提供する能力になります。顧客がサイバーセキュリティを必要としなくなることはありません。しかし今後は、単なる技術要件としてサイバーセキュリティを提供するのではなく、競争優位につなげられるパートナーが、積極的に選ばれるようになるでしょう。
MSP 向けのサイバーセキュリティのトレンドについて詳しく知りたい方は、ウォッチガードのレポート「From IT Support to Cybersecurity Hub: The New Mandate for MSP Growth(IT サポートからサイバーセキュリティの中核拠点への転換:MSP の成長に向けた新たな使命)」をご覧ください。