2018/08/27

ビットコイン以外の仮想通貨

coin, bitcoin
2018 年 8 月 27 日 Marc Laliberte 著

仮想通貨に馴染みがなく、「仮想通貨の基礎知識」をまだお読みいただいていない方には、今すぐお読みになることをお勧めします。「仮想通貨の基礎知識」では、最も歴史が長く、有名でもあるビットコインを例として取り上げ、仮想通貨の基礎を説明しています。

  • ビットコイン

    ビットコインは、最初に登場した本物と言える仮想通貨であり、1 コインあたりの価値と市場規模のどちらにおいても、今なお最も価値の高い仮想通貨です。しかしながら、実際にはビットコインだけが仮想通貨というわけではなく、1,000 を超える仮想通貨が存在します。

  • ライトコイン

    ビットコインの最も古い競合仮想通貨の 1 つとして、ライトコイン(Litecoin)がありますが、ライトコインは基本的にはビットコインにとても良く似ており、違いは、取引確認時間が短く(ビットコインが 10 分であるのに対し、2.5 分)と専用マイニングシステムの耐障害性が高い異なるハッシュアルゴリズムを利用している点だけです。ライトコインがビットコインと肩を並べるほどの人気を得たことはありませんが、短い取引時間を望むユーザの代替仮想通貨として今も利用されています。

仮想通貨、特にビットコインは、この数年間で取引における個人情報保護の強化に取り組んできました。紛争地域などの危険な場所で活動している報道関係者は、仮想通貨を使って匿名で VPN サービスを購入することで、自らの身元や滞在場所を隠すことができます。その一方で、サイバー犯罪者にとっても、盗んだデータをダークウェブで販売を促進したり、ランサムウェアを大々的に広めたりできるという点で、仮想通貨には大きなメリットがあります。2017 年 12 月のビットコインの価値高騰は、大きな影響を両者に与えました。

ビットコインの価値が 1 コインあたり 20,000 ドルに高騰したことで、投機筋は大いに活気づきましたが、仮想通貨を実際の支払いに使用している人達は、何時間にもなる取引時間と 20 ドルの取引手数料に悩まされることになりました。そのため、ビットコインを使って 30 ドル程度のクリプターやマルウェアの部品を売買するビジネスは割が合わなくなり、ビットコインに代わる仮想通貨、モネロ(Monero)にユーザが注目することになりました。

  • モネロ

    モネロは、プライバシー重視型の仮想通貨であり、誰が始めた取引かということだけでなく、振込金額も隠すことができ、匿名性を重視するサイバー犯罪者にとって、これは大きなメリットです。さらには、モネロのマイニングアルゴリズムは、専用システムはもちろん、ビットコインほどの GPU マイニングも必要としないため、JavaScript プログラムの実行と同程度の手軽さで、Web サイトで コインをマイニングできます。広告ブロックの拡張機能が増加していることから、広告に代わる収入源として、JavaScript ベースのモネロのマイナーが追加されている Web サイトもあります。また、サイバー犯罪者が正規の Web サイトに存在する XSS(クロスサイトスクリプティング)の脆弱性を悪用し、密かにコインマイナーをインジェクションしている場合もあります。
  • イーサリアム

    仮想通貨の中には、当初は仮想通貨として設計されたものでなく、デジタルコインを他の用途のための手段として使用しているものもあります。イーサリアム(Ethereum)、具体的にはそのコインであるイーサ(Ether)は、そのような仮想通貨の 1 つです。イーサは現在、市場価値が第 2 位のコインですが、その主な用途は、イーサリアムブロックチェーンで処理能力の対価を支払うことにあります。

    イーサリアムブロックチェーンは、金融取引の台帳としての役割を果たすだけでなく、「スマートコントラクト」と呼ばれる完全アプリケーションの実行をサポートしています。スマート契約は、ユーザのウォレットアカウントに似たアカウントのタイプで、個人ではなく、コードによって制御されます。このコードは、特別な条件を満たした場合に特定のユーザアカウントに対して仮想通貨(イーサだけでなく、ブロックチェーンの別のトークンも可)をリリースするエスクローアカウントのような単純なものである場合もありますが、複数のスマートコントラクトを使って、以前のブログ記事でご紹介した CryptoKitties(仮想仔猫を売買するアプリケーション)のような高度なアプリケーションを開発者が作成することもできます。実際の仮想通貨であるイーサは、ネットワーク上のノードの処理能力に対して対価を支払う燃料のようなものであると言えます。

今回は、4 つの例をご紹介しましたが、実際には何千もの仮想通貨が存在し、それぞれによって特長や得意とする専門分野が異なります。ブロックチェーンテクノロジは全体として、まだまだ発展途上の段階にあり、さらに多くのコインや用途がまだまだ登場する可能性があります。それがどのようなものであるかについては、今後いずれかの段階で明らかになるでしょう。