2026/01/25

データプライバシー:組織が AI の脅威から職場を守る方法

職場のプライバシーは、従業員の協力と強固な管理体制によって守られます。AI を利用した脅威が増大する中で、組織は従業員トレーニングとセキュリティ対策を組み合わせて、リスクを軽減しなければなりません。

2026 年 1 月 25 日、Kanika Mittal 著

職場におけるデータプライバシーは、単なるコンプライアンス要件ではありません。従業員を守り、信頼を築き、ビジネスリスクを軽減する方法でもあります。従業員は職場データの大部分を扱っており、ディープフェイクやビジネスメール詐欺(BEC)など、AIを利用した攻撃の重要な標的となっています。データを守る最善の方法は、セキュリティの向上につながる実践的な習慣を身に付け、実際の攻撃に対応できるトレーニング、最小権限のアクセス、多要素認証、監視、メール認証などの強力な制御を組み合わせることです。

職場における従業員データのプライバシーが重要な理由

職場のデータプライバシーは、単なる法令遵守や法律上の義務ではありません。従業員や組織の評判、将来を守るための重要な取り組みです。従業員は事業継続に不可欠なデータの生成と管理を担う中心的存在であり、その役割は極めて重要です。

従業員のデータは、名前やメールアドレスだけにとどまりません。給与情報、健康関連データ、業績記録、身元確認情報、デバイスログ、さらには社内システムや企業チャネルでの個人的な会話まで含まれます。これらを適切に管理しなければ、従業員の士気低下や信頼の喪失、さらには法的・財務的リスクに直結します。

従業員が自分のデータが適切に扱われていると感じていると、社内ツールを信頼して利用するようになり、ミスがあった場合でも積極的に報告し、懸念を早期に報告するようになり、調査にも協力的になります。逆に信頼されていなければ、規則を回避したり、承認されていないツールを使用したり、異常に気がついても声を上げないことがあります。

このため、従業員から信頼され、責任あるデータ管理がこれまで以上に重要になっています。従業員は、AI を悪用した巧妙な詐欺が増える現代において、最前線の防御を担っていることが多いのです。

新たな現実:AI を利用したサイバー脅威

現在、従業員が直面する脅威は急速に進化しており、その多くが AI によって生み出されています。ディープフェイクや音声クローン、自動化されたフィッシングツールの登場により、攻撃者は経営幹部やリーダー、同僚、さらには信頼できる取引先にまで容易になりすますことが可能になりました。わずかな公開音声や映像クリップがあれば、説得力のある偽装を行うには十分です。

特に中小規模の組織では、専任のセキュリティチームが存在しない、あるいは正式な確認プロセスが整備されていないケースが多く、通常とは異なる依頼の真偽を検証することが困難です。その結果、こうした組織は攻撃者にとって格好のターゲットとなりやすい状況にあります。

AI を使った経営幹部へのなりすましとソーシャルエンジニアリング
攻撃者は、生成 AI を駆使し、ディープフェイク音声や動画、その人物の特徴を正確に取り入れたメッセージなどを使って、CEO や財務責任者、信頼できる同僚になりすまして従業員を欺きます。これらの攻撃は、多くの場合「緊急性」を煽り、従業員に金銭を支払わせたり、機密情報を共有させたりします。

大きく報道された事例もあります。エンジニアリング企業の Arup 社の従業員が、ディープフェイクによるビデオ通話で騙され、正規の依頼だと信じて約 2,500 万米ドルを送金しました。

ビジネスメール詐欺(BEC)

BEC(ビジネスメール詐欺)攻撃は、なりすましや乗っ取られたメールアカウントを利用して、通常の業務フローを巧妙に操作し、不正に資金を取得する手法です。この攻撃が特に危険である理由は、マルウェアの導入を必要とせず、攻撃者が信頼、タイミング、説得力を駆使して攻撃を成立させる点にあります。

FBI は繰り返し、BEC が財務的に最も大きな損害をもたらすサイバー犯罪の一つであると警告しています。

実際の事例として、化学大手の Orion 社は、2025 年中頃に契約条項と緊急の生産期限を正確に引用したベンダーを装った攻撃によって 6,000 万ドルを失いました。この攻撃ではマルウェアは一切使用されず、巧妙なソーシャルエンジニアリングのみで成功を収めたケースです。

重要なポイント:従業員の常識に頼る、古いトレーニングだけで対応するという方法は、もはや十分ではありません。AI を利用した攻撃は巧妙で個別化されており、発見が非常に困難です。人は依然として最も重要な防御の要です。AI を利用した脅威を未然に防ぐため、組織は強固な技術的な制御と従業員教育を取り入れ、信頼に基づく文化を醸成する必要があります。

従業員が職場データを守るためにできること

以下の習慣を実践することでリスクを大幅に減らせます。

  • 緊急性が高い、通常とは異なる、あるいは金銭、認証情報、機密データを要求する依頼には一旦立ち止まって慎重に判断する
  • リスクの高い依頼は別の手段で確認する(既知の番号への折り返し電話、Teams での確認、上司への相談など)
  • パスワード、MFA コード、認証プロンプトは、自分が発行していない場合は決して共有しない
  • 個人アカウントではなく、承認されているファイル共有やストレージツールを使用する
  • 攻撃が疑われるメール、メッセージ、電話は恐れず迅速に報告する

強固なプライバシー文化では、誰でも簡単に報告でき、何か問題が起きた際に従業員を支援できます。

組織がデータセキュリティを強化する方法

職場のデータを保護するには、明確な境界と実践的な安全策が必要です。
目標は必要な情報だけを収集し、安全に保存し、アクセスできる人を制限することです。

組織が実施すべき主要な対策

  • データ収集と保持について透明性を確保します。どのデータが収集されるのか、なぜ必要なのか、どのくらいの期間保持されるのかを明確に伝えましょう。不要になったデータは削除してください。
  • 役割ごとにアクセスを制限します。最小権限アクセスやロールベースのアクセス制御(RBAC)を導入し、アクセス権を定期的に見直して権限クリープを防ぎます。
  • 保管時も転送時もデータを保護します。機密データを暗号化し、安全な共有方法を標準化します。
  • 異常な活動を監視します。異常なダウンロード、大量のデータエクスポート、予期しない場所からのログインなどに注意します。
  • 強固な認証を適用します。重要なシステムでは多要素認証(MFA)を必須とし、特権アカウントにはさらに厳しい制御を適用します。

AI の脅威を認識するための従業員トレーニング

テクノロジーだけでは AI による攻撃を防ぐことはできません。従業員は、今日のリアルな脅威を反映した実環境に即したトレーニングを受ける必要があります。

効果的なトレーニングのポイント:

  • ディープフェイク、音声クローン、巧妙なフィッシングの事例を取り入れている
  • 緊急性を煽り、口外しないことを強調するメッセージは警戒すべき詐欺のシグナルであることを強調する
  • 攻撃が疑われる活動を恐れず報告できる環境を作る
  • 攻撃の手法が変化する中でも、従業員が常に対応できるように、定期的に最新のトレーニングを実施する

AI を利用した攻撃に対する技術的防御策

トレーニングと併せて、技術的な制御もソーシャルエンジニアリングの影響を軽減し、従業員とビジネスデータを保護するのに役立ちます。

主な対策:

  • なりすまし、異常な送信パターン、悪意あるリンクや添付ファイルを検出するメールセキュリティツール
  • なりすましメールをブロックするためのドメインとアイデンティティ保護(DMARC、SPF、DKIM)
  • ユニークアカウント、多要素認証、厳格な管理者権限管理を備えた強力なアイデンティティとアクセス管理
  • メール、クラウドストレージ、メッセージングプラットフォームでの疑わしい転送を検出・ブロックするデータ損失防止ツール
  • 予期しない場所からのログインや大量の機密ファイルダウンロードなど、異常な行動を特定するログ監視とアラート

データプライバシーは従業員全員による取り組み

データプライバシーは、単なる一回限りのプロジェクトや IT チェックリストにとどまるものではありません。それは、組織全体で継続的に取り組むべきものです。まずは、リーダーシップチームが AI を利用した巧妙な詐欺や見落とされがちなベンダーの脆弱性といった実際のリスクを認識することから始め、次に、すべての従業員が組織の最前線で積極的に行動できるような環境を構築することが求められます。

プライバシーがチームの働き方に組み込まれることで、全員にとって大きな利益がもたらされます。従業員はより安全に働くことができ、企業はレジリエンスを強化し、最終的に信頼の文化が組織の基盤となります。

安全に、油断せず行動してください。

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