XDR の選定ポイント:統合がもたらす価値と複雑化への対応
複数ツールの複雑な連携ではなく、統合性とシンプルな運用を重視した、効果的な XDR の選定ポイントを解説します。
2026 年 4 月 23 日、Stephen Helm 著
XDR 市場は、ここ数年で急速に進化してきました。かつては新機能の競争追加のような様相を呈していましたが、現在では別の論点へと移行しています。それは、現代のインフラを構成するさまざまなセキュリティレイヤーをいかに効果的に統合するかという点です。エンドポイント、アイデンティティ、ネットワーク、クラウドアプリケーションなど、IT 環境がますます分散化する中で、脅威を検知するために分析すべきセキュリティシグナルの量は飛躍的に増加していることがこの議論の背景にあります。
Software Analyst Cyber Research の調査によると、セキュリティチームは平均して 1 日あたり 960 件のアラートに対応しており、大規模組織ではその数が 1 日 3,000 件を超える場合もあります。さらに、リソース不足やコンテキスト不足を理由に、約 40% のアラートが調査されていないことも明らかになっています。これは、XDR プラットフォームの価値が単に各ツールの機能の豊富さだけで決まるのではなく、異なるセキュリティ領域から得られるデータをどれだけ効果的に統合し、相関分析できるかに左右されることを示しています。特に、こうした相関分析が複数ツール間の複雑な連携に依存している場合、インシデント全体の状況を正確かつ迅速に把握することが難しくなる可能性があります。
プラットフォーム型 XDR か統合型 XDR か:求められる戦略的判断
市場の成熟に伴い、XDR ソリューションのアーキテクチャも進化しています。多くのプラットフォームでは、複数のセキュリティツールからシグナルを集約し、異なるテクノロジー環境で生成されるデータを横断的に活用することで、可視性の向上を実現しています。こうした統合主導型のアプローチは、より広範なカバレッジを提供できる一方で、運用の複雑化を招きやすく、データの一貫性を維持することが難しくなるという課題も抱えています。
この傾向は、業界における戦略的な動きにも表れています。2025 年、グローバルなマネージドセキュリティサービスプロバイダーである LevelBlue は、Cybereason を買収し、高度な XDR 機能とインシデント対応機能を単一プラットフォームへ統合する方針を発表しました。この買収は、短期間に実施された複数の買収を背景としたテクノロジー統合戦略の一環であり、複数ツールの管理を簡素化するとともに、検知から対応までを一貫して可視化できる運用基盤の実現を目的としていました。こうした動きは、市場が個別ツールの連携よりも、統合されたプラットフォーム型アプローチをより重視し始めていることを示しています。
その結果、単一のセキュリティプラットフォームに統合された XDR モデルであるプラットフォームネイティブへの関心が高まっています。これは、エンドポイント、ネットワーク、アイデンティティ、クラウドといった異なるレイヤーが同一のエコシステム内で動作するように設計されており、データの正規化が容易になり、イベントの自動的な相関分析も可能になります。これにより、実際にリスクとなるインシデントを迅速に優先付けでき、調査および対応プロセスも簡素化されます。
さらに運用面では、プラットフォームネイティブなアプローチは、複数の統合を管理するための運用負荷を軽減します。チームは異なるツール同士を接続する作業に時間を費やす代わりに、インシデントの分析や脅威への対応により多くの時間を割くことができます。これは特に、マネージドサービスプロバイダー(MSP)やセキュリティチームが小規模な組織にとって大きな価値を持ちます。
このような背景から、近年ではプラットフォームネイティブなアプローチを採用する XDR ソリューションも増えています。これは、ネットワーク、エンドポイント、アイデンティティなど各領域のテレメトリを単一のエコシステム内で統合し、複雑なマルチツール連携に依存することなく、シグナルの相関分析や自動対応を実現するアプローチです。こうしたモデルは、統一されたアーキテクチャと ThreatSync のような機能を備えたウォッチガードのプラットフォームにも見られ、運用の一貫性を高めると同時に、セキュリティチームの管理負荷軽減にも貢献します。一方で、Open MDR のようにサードパーティテレメトリをマネージドサービスへ取り込めるオープンなモデルも進化しており、市場全体としてはネイティブ統合によるシンプルさと他社製品を活用できる柔軟性の両立を模索している状況にあります。
機能を超えて問われる、XDR の本当の価値
XDR ソリューションの選定は、もはや単純な機能比較だけでは判断できない時代に入っています。IT 環境がますます複雑化する中で重要なのは、セキュリティデータをどのように統合し、相関分析によって、実際に何が起きているのかを把握できるかです。自動化と拡張性を備えたプラットフォームネイティブ型の XDR(WatchGuard XDR のようなソリューション)は、大量のセキュリティデータを、迅速な対応につながるコンテキスト化された情報へと変換することを可能にします。
脅威環境がますます高度化および複雑化する中、効果的な統合と運用のシンプルさを重視する組織は、インシデントが深刻化する前に、より迅速な検知、調査、封じ込めを実現できるようになるでしょう。