2019/04/09

IT サービスプロバイダのクラウドの採用にあたってのジレンマ

システム 管理者 MSSP admin
2019 年 4 月 9 日 Julian Matossian

クラウドサービスの採用が、IT サービスのビジネスに大きな変化をもたらし、MSP(マネージドサービスプロバイダ)モデルの導入に乗り遅れた IT サービスプロバイダは、いち早く採用した他社にビジネスを奪われることになるでしょう。かつては VAR(付加価値再販業者)が最適なサービスモデルであった分野にマネージドサービスモデルが採用されるようになり、その勢いがとどまる兆しはありません。このような変化は、中小規模企業を標的にするサイバー攻撃の増加、クラウドへの継続的な移行、柔軟なサブスクリプションベースの契約による SMB 利用モデルのトランスフォーメーションなどの要因によって、さらに加速しています。2019 年と 2020 年は IT サービスプロバイダにとって極めて重要な年になり、完全な MSP モデルへの移行を決断するか、現状維持を選択して時代に取り残されることになるかの決断を迫られることになるでしょう。

しかしながら、MSP モデルへと移行するには、どうすれば良いのでしょうか。IT サービスプロバイダは、サービスベースのデリバリモデルをサポートするテクノロジを採用することで、このトレンドにいち早く対応できます。柔軟かつ制限なく拡張と縮小が可能なテクノロジには、常に変化する顧客のニーズに応え、自動化によってサービスデリバリが簡素化され、インフラストラクチャのコストと時間の制約から解消しつつ、顧客のネットワークに関する実用的な情報がリアルタイムで提供されるというメリットがあります。

MSP がビジネスを拡大しようとする場合、さまざまなコストを考慮する必要がありますが、中でも、インフラストラクチャのコストが突出して高くなる可能性があります。多くの場合、ビジネスオーナは、サーバ機器のサイジングなどの難しい問題に直面しますが、それは、顧客ごと、あるいはプロジェクトごとのどちらが基準になるのでしょうか。また、段階的あるいは直線的のどちらの方法でサイジングするのでしょうか。インフラストラクチャを保守するために、MSP は何人を雇用する必要があるのでしょうか。そして、どれ位の頻度でインフラストラクチャを新しい機器に交換する必要があるのでしょうか。オンプレミスですべてを顧客に販売するという方法も考えられますが、集中管理できなくなるため、拡大や縮小への対応がさらに困難になります。

クラウドソリューションであれば、MSP が管理するインフラストラクチャは必要ありません。こうした作業のすべての責任をベンダが負うことになり、パッケージングと利益率の計算だけを MSP が行えばよくなります。

ただし、クラウドソリューションであればどれも同じというわけではありません。MSP は、自社のビジネスの成長につながる機能を備えたクラウドソリューションを選択する必要があります。

多層型、マルチテナントのアーキテクチャ

  • さまざまなクラウドソリューションがありますが、真に多層型でマルチテナントのアーキテクチャに基づき設計されていて(つまり、縦方向にも横方向にも制限なく拡大/縮小でき)、顧客の数やタイプの制限なく作成とオンボーディングが可能でありながら、テナント間でのデータの分離やロールベースの情報へのアクセスも可能なものであることが重要です。

スケーラブルなパフォーマンス

  • クラウドにすれば何でも速くなるわけではありません。優れたクラウドプラットフォームとは、MSP の顧客のコンピューティングやストレージに対する変化する要件に自動的に対応できるだけでなく、MSP が数テラバイトのデータのレポートを数秒で作成できるものでなければなりません。

インベントリ/ライセンス管理ツールの統合

  • ソリューションにログインするだけで、アクティブであるライセンスを確認できるものでなければなりません。より多くの機能を求める MSP は、ライセンスの割り当てやアカウントの移譲などの機能が組み込まれているベンダを探す必要があります。インベントリ管理機能があれば、MSP は、すべての顧客のライセンスを表示、追跡できるだけでなく、サービスモデルの条件に従って、サービスを顧客に割り当てたり解除したりできます。アクセス権の移譲などの重要な機能が追加されることで、MSP による柔軟な方法での製品の販売やアクティベーションが可能になります。

アラートと通知の自動化

  • クラウドソリューションをできるだけ少数のプラットフォームに統合し、管理を合理化したいと考える MSP にとって、アラートと通知はとても重要な機能です。優れたクラウドプラットフォームであれば、MSP が、すべてのセキュリティアプリケーションのアラートや通知を迅速かつ容易に構成できるだけでなく、顧客のライセンス、利用状況、有効期限からセキュリティやパフォーマンスの最新情報までのあらゆる情報に関する通知にアクセスできます。

これらの機能が 1 つのプラットフォームに統合されていれば、MSP は、自社のビジネスにとって重要な活動、すなわち、顧客の獲得、オンボーディング、サービスの提供に集中できるようになります。MSP は、クラウドへの移行にあたっては、最適なプラットフォームを選択することが重要であり、そうすることで、利益率と売上の向上につながるだけでなく、自社のビジネスや顧客のネットワークに関する重要な情報が提供されます。真の多層型でマルチテナントに対応し、自動的な拡張や縮小の機能を備えた、優れたクラウドプラットフォームを採用することで、顧客のアカウント、インベントリ、ライセンスの数の制限なく、新しいサービスを導入して管理し、顧客のネットワークに関する貴重な情報を得ることができます。