2025/07/30

MSP が留意すべきサイバーセキュリティの落とし穴 5 選

2025 年 7 月 30 日 Joseph Tavano 著

マネージドサービスプロバイダ(MSP)としてサイバーセキュリティを管理するのは、決して楽ではありません。絶えず進化する脅威の状況、高まる顧客の期待、そして熾烈な競争と向き合いながら、自社のビジネスを成長させ、顧客を守らなければならないのです。

経験豊富な MSP であっても、間違った戦略により、顧客の利益を損ない、業務を煩雑にし、セキュリティリスクを高めてしまう落とし穴に陥ることがあります。ここでは、ビジネスの足かせとなり得る 5 つの落とし穴と、その回避方法を紹介します。

  1. 使われない機能を売ってしまう
    MSP は、多機能なセキュリティバンドルを提供しがちです。しかし顧客が実際に使っているのがそのうちの 20〜30% だけだとしたら、それは単なる無駄であるにとどまらず、複雑性やコストを増しているだけで、顧客にとってのリターンはほとんどありません。追加の価値が実際のリスクや成長プロファイルに合致してはじめて、アップセルは意味を持ちます。

    • 取るべき行動: ソリューションの適正化に注力しましょう。ツールの使用状況を把握し、アップグレードは明確かつ測定可能なニーズに沿って行うべきです。
  2. 複雑すぎるスタック
    ツールが増えればセキュリティも高まるとは限りません。戦略なしにソリューションを積み重ねると、担当者に過剰な負担をかけ、無駄なアラートが増え、設定ミスや侵害のリスクが高まる恐れがあります。

    • 取るべき行動: スタックを合理化しましょう。統合と自動化を優先すべきです。目指すべきは「複雑さ」ではなく「制御」です。
  3. ツールの重複 = 利益の損失
    複数のベンダから同じ領域をカバーする製品を導入すると、労力が二重になるだけでなく、コストが膨らみ、可視性が損なわれます。その結果、対応速度が遅くなり、提供価値も低下します。

    • 取るべき行動: スタックの冗長性を監査しましょう。制御を強化し、インシデント対応を簡素化する統合型プラットフォームを目指すことが重要です。
  4. 画一的なパッケージの押し付け
    顧客の需要は一様ではありません。固定された「一律パッケージ」を提供していると、個別のセキュリティ、コンプライアンス、予算ニーズに対応できなくなります。それは、MSP 自身のサービスを効率的に拡張することも難しくします。

    • 取るべき行動: 柔軟なモジュール型のサービスを構築しましょう。サービスが顧客に合わせて最適化されていれば、MSP は単なる提供者ではなく戦略的パートナーになれます。
  5. コンプライアンスの複雑さの軽視
    過度に厳しいセキュリティ対策は、要件を満たす目的には確かに役立つでしょうが、エンドユーザを苛立たせ、場合によっては回避行動を誘発することもあります。さらに、複雑な環境ほど監査やコンプライアンス維持が難しくなります。

    • 取るべき行動: コンプライアンスを単なるチェック項目の羅列ではなく、戦略の中核であると捉えるべきです。レポートを簡素化し、ユーザの負担を減らせるツールやプロセスを選びましょう。

MSP にとっての結論

ツールを増やすことがただ一つの答えではありません。今日の MSP には、洗練され、統合された、アジャイルなセキュリティアプローチが求められます。その理想は、複雑さがなく、可視性が高く、実際のコンプライアンスやビジネスニーズに合致したアプローチです。

顧客が求めているのは単なる技術面のサポートではありません。本当に必要としているのは「信頼できる戦略的パートナー」です。単なる技術対応の責任者から、信頼されるアドバイザへと転換できる MSP こそが、来るサイバーセキュリティ時代に成功を収めるでしょう。