今こそ VPN を置き換えるべき理由
アイデンティティベースのセキュアアクセスでは、VPN に代わってゼロトラストが導入されます。継続的な検証によってリスクを低減し、運用を簡素化するとともに、ハイブリッドワークの安全性を高めます。
2026 年 7 月 15 日、Bill Munroe 著
アイデンティティベースのセキュアアクセスの台頭
長年にわたり、VPN はリモートアクセスの標準的な手段でした。従業員の働く場所が主にオフィスで、自宅から接続するのはたまにしかないという環境で、組織が抱えていた課題を VPN は解決してきました。
しかし、今やそのような世界は存在しません。
現在、従業員はあらゆる場所から仕事をしています。アプリケーションは、SaaS プラットフォーム、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス環境など、さまざまな環境で稼働しています。セキュリティチームには、ますます巧妙化する攻撃から組織を守りながら、シームレスなアクセスを提供することが求められています。それにもかかわらず、多くの組織は、20 年以上前に設計されたアーキテクチャに依然として依存しています。
問題はもはや、VPN が機能するかどうかではありません。
VPN が依然として適切なセキュリティモデルなのかどうかが問われています。
見出しが伝えるのは、いつも同じ話
ここ数年、そして 2026 年にはその傾向がますます強まっていますが、VPN はサイバー犯罪者や国家支援型の攻撃者にとって、依然として魅力的な標的となっています。
Fortinet、Palo Alto Networks、SonicWall、Ivanti など、複数のベンダーの製品で重大な脆弱性が発見され、実際の攻撃で悪用されています。最近のインシデントでは、認証回避の脆弱性、認証情報を窃取するキャンペーン、サービス拒否(DoS)攻撃、リモートアクセスインフラの悪用などが発生しています。(Reuters)
こうした攻撃が発生しているのは、ベンダーが脆弱な製品を作ったからではありません。
VPN ゲートウェイは、リモートアクセスサービスをインターネットに公開するよう設計されています。それが、VPN ゲートウェイを格好の標的にしているのです。
- 組織はパッチを適用します。
- 攻撃者は別の脆弱性を見つけ出します。
- そのサイクルが繰り返されています。
- コストは増大します。
- リスクも増大します。
問題は暗号化ではない
VPN は現在でも強力な暗号化を提供しています。それが問題になることはほとんどありません。
問題は、セキュリティモデルです。
従来の VPN は、ユーザーを認証し、トンネルを確立して、ネットワークレベルの接続を提供します。接続すると、ユーザーは実際に必要とするアプリケーションだけではなく、広範囲のリソースにアクセスできる状態になることが少なくありません。
現代の攻撃者は、この状況を熟知しています。
認証情報を侵害し、VPN ゲートウェイを悪用することで、ラテラルムーブメント、権限昇格、ランサムウェアの展開へと至る可能性があります。
現代のセキュリティは、ログインした後でもユーザーを信頼せず、すべての接続を継続的に検証する方向へ向かっています。
セキュリティはネットワークの枠を超えており、企業の境界は、もはや消失しています。
ユーザーは、自宅、ホテル、空港、顧客先など、さまざまな場所から接続します。
アプリケーションは、Microsoft 365、Salesforce、AWS、Azure、Google Cloud、プライベートデータセンター、そして無数の SaaS プラットフォーム上で稼働しています。
もはやセキュリティは、ユーザーがどこから接続しているかに依存することはできません。
セキュリティは、次の要素に基づくものでなければなりません。
- ユーザーが誰なのか
- 使用しているデバイス
- どのアプリケーションへのアクセスを要求しているのか
- セッションに伴うリスク
これがゼロトラストの基盤です。
組織はネットワーク全体へのアクセスを許可するのではなく、ユーザーに許可した特定のリソースにのみアクセスできるようにしなければなりません。
経済面でも状況は変化している
VPN を見直す理由は、セキュリティだけではありません。
運用コストも増え続けています。
IT チームは、次のような対応に時間を費やしています。
- VPN 接続に関する問題への対応
- 証明書の管理
- ファイアウォールルールの維持と管理
- リモートアクセスのトラブルシューティング
- 緊急性の高い脆弱性への対応
- 外部に公開されたインフラへのパッチ適用
一方で、リモートアクセスが低速になると、従業員の生産性も低下します。
MSP が数十社もの顧客を管理している場合、こうした運用コストは雪だるま式に膨れ上がります。
最新のセキュリティサービスエッジ(SSE)プラットフォームは、従来型の VPN インフラを維持および管理する必要なく、クラウドで管理されるセキュリティを提供することで、こうした運用負担の多くを軽減します。
コンプライアンスも同じ方向に進んでいる
規制の枠組みでは、次のような対策がますます重視されるようになっています。
- 多要素認証
- 最小権限アクセス
- 継続的な検証
- 詳細な監査ログ
- アイデンティティベースのアクセス制御
これらの要件は、従来のネットワークベースの VPN アクセスよりも、ゼロトラストアーキテクチャと自然に整合します。組織が VPN を置き換えているのは、単にテクノロジーが変化したからではありません。セキュリティへの要件が変化したからです。
VPN の置き換えを超えて
VPN の置き換えは、取り組みの一部にすぎません。
組織には、以下の要件も満たす必要があります。
- インターネットトラフィックの保護
- SaaS アプリケーションの安全な利用
- プライベートアプリケーションへのゼロトラストアクセスの提供
- ユーザーのアクティビティに対する可視性の向上
- 運用の簡素化
- 複雑性を高めることなく、ハイブリッドワークを支援すること
そのため、セキュリティサービスエッジ(SSE)プラットフォームは、サイバーセキュリティ市場で最も急速に成長している分野の一つとなっています。
FireCloud の進化
ウォッチガードは当初、クラウドで提供されるセキュア Web ゲートウェイ(SWG)と Firewall-as-a-Service(FWaaS)を通じて、インターネットにアクセスするリモートユーザーを保護するために FireCloud を導入しました。
この 1 年で、FireCloud は MSP および中小企業向けに専用設計された、より包括的なセキュリティサービスエッジ(SSE)プラットフォームへと進化しました。現在では、セキュアなインターネットアクセスに加え、プライベートアプリケーションへのゼロトラストアクセス、拡充されたゲートウェイオプション、アイデンティティ連携の強化、グローバルな PoP(Point of Presence)、高度なレポート機能、ThreatSync との統合、さらに数多くの運用面の改善を組み合わせ、すべてを WatchGuard Cloud から管理できます。
組織はセキュリティの向上と運用のシンプルさのどちらかを選択する必要はありません。FireCloud によってウォッチガードのパートナーは次のようなサービスを提供できます。
- セキュアなインターネットアクセス
- ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)
- アイデンティティ中心のセキュリティ
- リモートユーザー向けにクラウドから提供されるファイアウォール保護
- 一元管理
- ハイブリッドワーク環境における運用の簡素化
セキュアアクセスの未来
VPN は一夜にしてなくなるわけではありません。多くの組織では今後も、特定のレガシーワークロードやサイト間接続のために VPN を使い続けるでしょう。しかし、リモートユーザーのアクセスについては、業界全体が別のモデルへと移行しつつあります。それは、ネットワークではなくアイデンティティを中心に構築されたモデルです。ログインした後に暗黙的に信頼を付与するのではなく、すべてのセッションを検証するモデルであり、ファイアウォールによる保護を、すべてのリモートユーザーにまで拡張するモデルです。そして、ユーザーが必要とするリソースだけにアクセスを許可し、それ以上は何も与えないモデルです。
セキュアアクセスの未来は、より強固な VPN を構築することではありません。
VPN そのものを超えていくことです。