サイバーセキュリティにおける自動化と AI: 222 万ドルのコスト減

2025 年 6 月 27 日 Stephen Helm 著
2024 年にデータ侵害の世界平均コストは 488 万ドルに達し、前年から 10% 増加の過去最高額となりました。
この数値は『2024 年版データ侵害コストレポート』に掲載されたもので、同レポートでは、サイバーセキュリティ戦略に人工知能と自動化を導入した企業は、そうでない企業と比べて平均 222 万ドルのコスト削減に成功したことも示されています。
AI と自動化は、セキュリティチームの業務負担を軽減するだけでなく、迅速で効果的、かつ統制されたインシデント対応を可能にします。これは、欧州の一般データ保護規則(GDPR)のように個人情報保護が強化され、違反時の厳しい罰則が課せられるような規制環境、そしてサイバーセキュリティの専門人材不足が深刻化している現在、特に重要です。
このような課題すべてに効果的に対応するためのリソースを持ち合わせた企業は多くありません。さらにレポートによれば、侵害の 40% が複数の環境にまたがって保存されたデータで発生しており、状況を一層複雑にしています。これに対処するため、AI と自動化を統合したサービスを提供するマネージドサービスプロバイダ(MSP)との連携を行うことで戦略的な対応が可能となり、以下のような利点をもたらします。
1 – 業務負荷の最適化
従業員にとって、最初は重要な業務を自動化することに抵抗がある場合もありますが、適切に導入された AI システムは、アラートの分析、インシデントの分類、初期対応といった反復的な処理を確実に代替します。これにより業務負荷が軽減され、セキュリティ担当者は別の複雑な作業に集中できるようになります。
AI は、ふるまいパターンを分析することで脅威の検出を強化し、迅速かつ正確な対応を可能にします。実際、レポートでは顧客データ侵害の 46% に個人情報が含まれることが指摘されているため、これは非常に価値があります。
2 – 迅速で統制されたインシデント対応
AI 主導の脅威検出により、ランサムウェアや脆弱性を突いた攻撃など、境界保護をすり抜けてくる攻撃の特定ができます。IBM の『2024 年版データ侵害コストレポート』によると、認証情報の窃取を伴う侵害の検知と封じ込めには、平均で 292 日かかっています。AI は重要な情報をリアルタイムで提供し、的確な意思決定を可能にします。こうした自動化プロセスを統合することで、企業はサイバーセキュリティ態勢を強化し、絶えず進化するデジタル脅威に対して迅速かつ柔軟に対応できるようになります。
3 – 経済的影響の軽減
「攻撃の予防」を行うと、短期的なコスト削減がもたらされると考えられがちですが、真の価値は、経済的損失が最小限に抑えられ、ビジネスの継続性が確保できることにあります。これは顧客と取引先の双方を保護することにもつながります。
AI と自動化は、サイバー攻撃に対して迅速かつ効率的な対応を可能にし、データ損失や長時間のダウンタイムといった即時的な被害を大幅に軽減します。また、システムの復旧、新たなセキュリティ対策、規制違反に伴う罰金、影響を受けたユーザへの補償といった長期的なコストの削減にもつながります。
4 – 企業の評判に対するダメージを軽減
企業の評判は非常に重要でありながら、失われやすい資産でもあります。サイバー攻撃を受ければ、評判が大幅に損なわれる可能性があります。特に顧客データやアクセス権が侵害されると、被害はさらに拡大します。この問題に対処するためには、データを戦略的に保護できる技術を導入し、顧客の信頼と、組織としてのレジリエンスの両方を強化することが不可欠です。
AI を導入している組織は急速に増えていますが、レポートによればそのような取り組みのうち安全といえるものはわずか 24% に過ぎません。十分な保護がないことで、データや AI モデルが危険にさらされ、AI プロジェクトが本来提供すべきビジネスのセキュリティ上の利点が損なわれる恐れがあります。
AI と自動化への投資により、企業は現在の安全を守ると同時に、確かで安全な未来を築くことができます。サイバーセキュリティは付加価値を与えるものではなく、今や必要不可欠なものです。セキュリティのリーダーたちはリスクを予測し、効果的に対応することで、サイバー攻撃による経済、業務負担、評判に与える影響を最小限に抑える必要があります。信頼できるプロバイダと連携することは、ビジネスの継続性を確保し、顧客やパートナーの信頼を維持するための重要な戦略です。